【発酵講座】味噌とは?

味噌とは

味噌は蒸した大豆に麦や米などの麹と塩を合わせて発酵させた調味料です。よく耳にする「てまえみそ」とは、自家製の味噌を自慢することからきていて、自分のことをほめるという意味もあります。

古代に「未醤」とう言葉が生まれ、「未醤→味曽→味噌」と未だに醤油にならない一歩手前というような意味が由来とされています。その後、日本各地の土地や気候の影響を受けながら各々発展した結果として様々な味噌が誕生しました。

味噌の効果

「味噌は医者いらず」ということわざがあるように、味噌には体に嬉しい効果がたくさんあります。

 

がんの予防
味噌汁を飲む頻度が高いほど、胃がんでの死亡率が低くなる、3杯以上飲むと乳がんの発生を抑制できるという調査結果があります。(国立がんセンター研究所調べ)また、味噌はがんの原因となる突然変異物質の作用を弱めるといわれています。

血圧の低下
味噌には血圧低下作用を持つ、ペプチドという物質が含まれています。また、味噌汁に野菜や海藻を入れることで、それらに含まれているカリウム、マグネシウム、ナトリウムを排出します。

抗酸化作用
味噌に含まれるサポニンやレシチン、リノール酸、ビタミンEといった成分により、抗酸化作用が期待できます。味噌が発酵・熟成すると生じる褐色色素メラノイジンにも、酸化を防ぐ効果があります。

コレステロールの低下
味噌に含まれるリノール酸、食物性ステロール、ビタミンEなどには、コレステロールを低下させる効果があります。大豆の主要構成たんぱく質であるβコングリシニンは、血中の中性脂肪を低下させます。

美白効果
味噌には麹菌が発酵する過程で生成されるコウジ酸という成分が含まれています。こうのコウジ酸には、シミやそばかすの原因となるメラニンの合成を抑制する働きがあります。

整腸作用
味噌に含まれる、食物繊維や、難消化性成分であるレジスタントプロテインなどが、腸の腐敗菌や有害物質を排出し、腸内環境を整えます。

ピロリ菌抑制
ピロリ菌は胃がんや胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍を引き起こす細菌です。味噌に含まれる褐色色素メラノイジンの働きにより、胃の中のピロリ菌が抑制されるといわれています。

味噌の製造方法(米味噌)

✓大豆に水を吸水させる
✓大豆を煮て、柔らかくなったら塩と混ぜた米麹と一緒に合わせ発酵させる

麹の酵素が大豆や米のデンプンやたんぱく質を分解して、甘みの素となるブドウ糖や旨みの素となるアミノ酸を生成します。また、ブドウ糖は酵母や乳酸菌の栄養源となります。

発酵が進むと、アミノ酸と糖が反応するメイラード反応が進行し、色が茶色に変化します。熟成の完了した味噌は、製品化されるために防勇(ぼうゆう)=再発酵防止処理を行いますが、清酒を加えるアルコール添加法が主に用いられます。

味噌の表示方法

味噌には醤油と違いJAS規格はありませんが「味噌品質表示基準」などの法令によって、いくつかの表示の義務や使用基準が定められています。

天然醸造
大豆(または米や麦)を微生物の力のみで発酵・熟成させたも味噌のうち醸造を促進させるための酵素や食品添加物不使用のもの。


容器包装作業の前後において加熱殺菌処理を施していないもの。

手造り
天然醸造のうち、伝統的な手作業でつくられた麹を使用したもの。

特選・特撰
表示商品と同種で、品質・製造方法が劣る商品を製造しており、その同種商品に比べて表示商品が原料の品質や麹の作り方など5つの条件において1つ以上優れていることを示したもの。

吟醸
原材料に、農産物規格規程に定める品質を満たす大豆や麹原料としての米、または麦を使用している。

出汁入り
原材料のうち、かつお節、煮干魚類、昆布等の粉末または抽出濃縮物等の重量の総和がグルタミン酸ナトリウム等の総和を超えるもの。

味噌の種類

味噌は、品質表示基準によって4種類に分類することができます。また、他に色や味、日本各地に地域性の特色をもつ様々な味噌があります。

原料による分類

米味噌  米+大豆+塩
(味噌汁や煮物などさまざまな料理に)
大豆に米麹と塩を加えて作った味噌。麴の割合によって、甘味噌、甘口味噌、辛口味噌に分けられます。日本各地で生産される味噌の約80%を占めるポピュラーな味噌です。

麦味噌  麦麹+大豆+塩
大豆に麦麹と塩を加えて作った味噌で、甘口と辛口があります。もとは農家の自家用味噌として作られたため「田舎味噌」とも呼ばれます。主に大麦の生産地である」九州地方や、四国・中国地方で作られ、辛口は関東でも生産されます。

豆味噌  大豆麹+塩
(味噌カツなど名古屋名物に)
大豆と塩のみを用いた、最も古くからつくられてきた味噌。蒸した大豆を「味噌玉」にして麹菌を繁殖させるため、味と香りが濃厚。発祥の愛知、岐阜、三重県のみでつくられ、八丁味噌、名古屋味噌、三州味噌、たまり味噌はこの一種。

調合味噌 米味噌、麦味噌、豆味噌を混合したもの

嘗味噌(なめみそ)
ごはんのお供!

微生物の力で醸造した醸造嘗味噌と、普通の味噌に具を混ぜた加工嘗味噌があります。和歌山や千葉などの名産品「金山寺味噌」は前者で、大豆や大麦、米麹と刻んだウリやナス、生姜、シソの野菜を混ぜて発酵させます。

色による分類

熟成期間が短いものは白味噌と呼ばれ、熟成期間が長くなるほど色が濃くなり赤味噌となります。白味噌と赤味噌の中間あたりを淡色味噌と呼びます。

味による分類

味噌の甘味の程度は「麹」の割合で決まります。なので「麹の量が多いほど甘みの強い味噌になる」と言えます。

辛口味噌 
米味噌のなかでも最も多く製造されており、淡色と赤色の区別があります。麹歩合は10歩(原料大豆100kに対する麹100kの割合=10割)以下、塩分は12~14%で醸造期間が長いです。

甘口味噌
麹歩合は10~20歩(原料大豆100kに対して麹200kの割合)で甘みがあり、塩分は7~11%。中甘味噌、中味噌とも。

甘味噌
麹歩合は12~25歩程度、塩分は5~7%の低塩分濃度。高温熟成で5~20日の短い発酵期間で作ります。米麹からの糖分でとても甘いです。白味噌と赤味噌(江戸甘味噌)に分かれ、塩分濃度はほぼ同じですが、麹の割合や大豆の蒸煮方法が異なります。

てまえみそ

味噌に興味が出てきたら実際に作ってみるのもオススメです。
たくさんの量を仕込むイメージが強いかもしれませんが、少量の1キロ分だけでも美味しく仕込むことができます。

米麹の量を調節することで甘めの味噌を作ったり、自分好みの味噌が楽しめますよ。詳しい作り方はこちら

参考文献
発酵検定 公式テキスト 一般社団法人 日本発酵文化協会 2018
絵でわかる麹の秘密 小泉武夫 講談社 2015